過去のセミナー内容を踏まえた印象について、まとめています。是非、ご参照ください。
直近のプログラムもこちらからPDFファイルでご覧頂けます。
尚、印象記のタイトルをクリックしますと、それぞれの内容が開いて読むことが可能です。
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2024年 第22回印象記 京都府立医科大学 眼科 稗田 牧
Refractive Surgery Update Seminar 2024 in Kyotoは京都産業会館ホールで7月27日現地開催されました。以下講演内容の要約です。
教育セミナー
「ここが大事、眼鏡処方」
眼鏡作成技能士でもある山寺克英先生(兵庫医科大学病院)が、眼鏡作成の基本について解説しました。累進焦点レンズは種類が多く、選択が難しいですが、スマートフォンの普及に伴いニーズが広がっています。眼鏡店で確認を行いますが、処方箋自体は変更できないため、作成前の相談が大切です。
八重 康夫 先生(八重眼科医院)からは眼鏡についての智恵が披露されました。眼鏡の光学中心は、レンズの外側と内側の画像がずれない点、また反射が一致する点で判断できます。累進レンズはたとえ正しい処方であっても、患者の不満が生じることがありますが、処方と異なっていてもわかりにくいため、二重焦点レンズを使用することが推奨されます。さらに、乱視矯正については、低矯正よりも過矯正で誤差が大きくなる傾向があります。したがって、低矯正のほうが、クレームが少ないと言われています。
「円錐角膜外科治療アップデート」
北澤耕司 先生(京都府立科大学)円錐角膜の治療について強膜レンズ、実質移植など多様な治療が紹介されました。円錐角膜はホストが特殊であるため、長期的には急性水腫様の反応が起こることがあります。マイクロウェーブとフェムトによるジグザグ全層移植でもホストは下方に突出しますが、その変化が少ない可能性があります。
川崎諭 先生(京都府立科大学・東海眼科) Deep anterior lamellar keratoplasty (DALK)のbig bubble手法を解説されました。タイプ1はDua’s layerとデスメ膜(DM)の剥離、タイプ2はDMのみ、タイプ3は1と2の混合タイプで、タイプ2ではデスメ膜が破損する可能性がたかいようです。タイプ2で破損しても空気いれて対応することでDALKを完成させることができます。
加藤直子 先生(慶應義塾大学) 角膜クロスリンキングについて最新情報を講演されました。クロスリンキングを行うと円錐の92%で進行がとまること、重症度強いほど平坦化すること、高速法は深層混濁多いこと、ボーマン膜移植は5D程度平坦化するが適応が難しいことが述べられました。小児はなるべく早く実施する必要があります。
ランチョンセミナー
坪井孝太郎 先生(坪井眼科) 硝子体トリプルにおいてテクニスシリーズは眼内視認性にすぐれ、アイハンスはみえる幅がひろがり使いやすいようです。黄斑前膜のGovetto分類stage2で異所性内層構造(内顆粒層)あると視力でにくいが、手術で解除されると視力でるようでした。
脇舛耕一 先生(バプテスト眼科クリニック) クラレオンでsub-surface nano glistening(SSNG)がみられなくなりました。多焦点眼内レンズにおいて75歳以上でも、より若年と比較して結果はかわりません。Vivityは夜間運転や眼底疾患の患者にも適応があり、異なるレンズと組み合わせることでより視機能改善が期待できます。
稗田牧 (京都府立医科大学) あたらしいトーリック眼内レンズの紹介と、術後の評価方法について講演しました。
田中寛 先生(京都府立医科大学) 眼内レンズ強膜内固定ではインジェクターで挿入するとき前のハプティクスを30Gの針穴にダイレクトインサーションする方法が有用です。時間短縮だけでなく、周辺に角膜混濁であっても角膜中央でハプティクスを針にいれることができます。
シンポジウム
「屈折矯正手術の合併症と長期経過(再近視化)」
中村友昭 先生(名古屋アイクリニック)
スマイルSmall Incision Lenticule Extraction (SMILE)は日本で2023年承認され、フラップがずれにくいこと、バイオメカニクス高いことなどの利点があります。10年で-0.3D程度しか近視化がおこしません。合併症としてレンチクルの取り残しやガスの集積で不正乱視がおこりうること、0.7%サクションロスがあることです。あたらしいレーザー機器が認可されレーザー時間が短縮されたのみならず回旋補正もできるようになりました。
神谷和孝 先生(北里大学)
ICL (Implantable Collamer Lens)は日本の認定医師360名と増加して普及が進んでいます。日本以外でも韓国、中国で使用が増えています。術後10年経過しても目標の0.5D以内に80%以上がおさまっており、ホールICLでの白内障発生は0.5%程度に抑えられています。合併症としてはレンズの回旋がおこること、無菌性眼内炎がありえることです。症例数が増えるにしたがい感染性眼内炎も報告されています。
稗田牧(京都府立医科大学)
LASIK(Laser in situ keratomileusis)やPRK(Photorefractive keratectomy)のエキシマレーザー手術の長期経過観察で、眼軸長の延長に注目すると、レーザー手術後では報告されている近視眼の眼軸長延長の自然経過より少ない可能性があります。
演者+パネリスト荒井 宏幸 先生(みなとみらいアイクリニック)
岡 義隆 先生(先進会)
ディスカッション:国内では屈折矯正手術の7割がICLになっているがエキシマレーザー手術も必要な治療であることは同じ意見でした。
症例検討会
阿部 英樹 先生(むさしドリーム眼科) IPCL(Implantable Phakic Contact Lens)の利点と限界について
眞野 富也 先生 吹田徳洲会病院 有水晶体眼内レンズの術後眼内炎について
本年も屈折矯正全般について、あたらしい情報と難症例についての検討ができ、学ぶことが多い1日でした。
開催日:
2024年7月27日(土)
会場:
京都産業会館ホール 2階「北室」
〒600-8009 京都府京都市下京区函谷鉾町78番地
https://www.ksk.or.jp/
プログラム:
こちらの【ファイル】をご覧ください。
対象:
医師:5,000円 / 視能訓練士・看護師・その他:1,000円 / 企業:5,000円
お問い合わせ:
参加登録事務局(JTBコミュニケーションデザイン内)
email: refractive@jtbcom.co.jp
LASIK関西事務局
email: c-mrmt@koto.kpu-m.ac.jp
2023年 第21回印象記 京都府立医科大学 眼科 稗田 牧
Refractive Surgery Update Seminar 2023 in Kyotoが昨年と同じく京都産業会館ホールで7月29日現地開催されました。
教育セミナー
「屈折矯正の基本」では
1.「眼鏡の基本」について添田 浩生 先生(バプテスト眼科クリニック)は眼鏡処方について頂間距離補正からインディビジュアルレンズまで、広く解説されました。
2. 「CL の基本」について東原 尚代 先生 (ひがしはら内科眼科クリニック)は初心者が知っておくべきCLの知識について、レンズ選択からケア方法まで重要な項目を解説されました。
「近視進行抑制治療アップデート」 では
1.「Kubota Glass」 について窪田 良 先生 (窪田製薬ホールディングス)から昨年に引き続きこの眼鏡の説明と、最新の臨床成績が報告されました。
2. 「小児の近視に対するレッドライト治療法」 について五十嵐 多恵 先生(東京医科歯科大学)から、最近話題のレッドライト治療法について効果ばかりではなく副作用についての報告がなされました。
3. 「バイオレットライトによる近視進行抑制」 について鳥居 秀成 先生(慶應義塾大学)から、OPN5を介した眼軸抑制仮説を基礎から臨床まで幅広く解説がなされました。
ランチョンセミナー
ランチョンセミナーでは、新しい老視矯正眼内レンズVivityについて佐藤香先生(アイケアクリニック東京)から紹介がありました。小島隆司先生 (名古屋アイクリニック)からは2焦点+焦点深度拡張眼内レンズTECNIS Synergyのよい適応がしめされました。稗田からはNSP-3という単焦点で新しい非球面形状眼内レンズを紹介しました。荒井宏幸先生 (みなとみらいアイクリニック)から低加入度数分節型眼内レンズの長期経過を聞くことができました。
シンポジウム
シンポジウムでは「屈折矯正手術のup date」として小島隆司三先生 (名古屋アイクリニック)から今年国内承認をうけた角膜屈折矯正手術SMILEスマイルの実際についてわかりやすい説明がありました。五十嵐章史先生(代官山アイクリニック)からICLの現状について解説があり、手術最後のオビソートによる縮瞳で術後早期眼圧上昇を抑制する効果があるようでした。稗田からは、エキシマレーザー手術の優位性と、コンタクトレンズとの比較を発表した。
その後具体的な症例を提示したうえで、神谷和孝先生(北里大学)、荒井 宏之先生(みなとみらいアイクリニック)を交えて術式選択の考え方について討論しました。
症例検討会
症例検討会では、神谷和孝先生(北里大学)1例、眞野 富也 先生(吹田徳洲会病院)2症例が提示され、合併症対策について学ぶことができました。
4年ぶりの現地開催のみでしたが、直接の議論をすることで屈折矯正手術の現状について理解を深めることができました。
開催日:
2023年7月29日(土)
会場:
京都産業会館ホール 2階「北室」
〒600-8009 京都府京都市下京区函谷鉾町78番地
https://www.ksk.or.jp/
プログラム:
こちらの【ファイル】をご覧ください。
対象:
医師:5,000円 / 医療関係者:1,000円 / 企業:5,000円
お問い合わせ:
参加登録事務局(JTBコミュニケーションデザイン内)
email: refractive@jtbcom.co.jp
LASIK関西事務局
email: c-mrmt@koto.kpu-m.ac.jp
2022年 第20回印象記 京都府立医科大学 眼科 稗田 牧
Refractive Surgery Update Seminar 2022 in Kyotoが京都産業会館ホールで7月30日3年ぶりの現地開催、およびライブ配信にて行われました。引き続いてオンデマンド配信もあります。
教育セミナー
図 クボタメガネを装用した木下茂先生と窪田良先生
教育セミナーセッションの近視治療アップデートでは、稗田牧がアトロピン点眼について発表し、二宮さゆり先生(伊丹中央眼科)が多焦点や焦点深度拡張コンタクトレンズの最新情報を発表されました。続いて、秦誠一郎先生 (スカイビル眼科 )と窪田良先生 (窪田製薬ホールディングス株式会社)が近視進行の新しい眼鏡、クボタメガネについて紹介されました。周辺網膜に近視性の光を能動的に照射することで眼軸延長を抑制する試みで、装用タイプ(図)だけでなく、設置して一定時間光をあてる方式もあるようでした。自分で装用してみると、見え方にはさほど違和感はありませんでした。
ランチョンセミナー
ランチョンセミナーでは、調節機能検査を用いた近視抑制の活用法について稗田牧が講演しました。渡邊敬三先生 (南大阪アイクリニック)からは白内障手術システムの完成度の高さが発表されました。野口三太朗 先生(ツカザキ病院)からは分節型多焦点レンズの使い方で示唆に富む発表がなされました。森井 勇介 先生 (森井眼科医院)からは焦点深度拡張+2焦点眼内レンズの実際の成績を聞くことができました。
シンポジウム
シンポジウムでは「屈折矯正手術の使い分け」として岡 義隆先生 (岡眼科)から角膜屈折矯正手術の優位性が、北澤 世志博先生 (サピアタワー アイクリニック東京)から眼内屈折矯正手術の有意性が発表されました。その後具体的な症例を提示したうえで、木下 茂先生(京都府立科大学)、荒井 宏之先生(みなとみらいアイクリニック)、神谷 和孝先生(北里大学)も交えて、使い分けが議論されました。手術適応については多様な意見が存在することをあらためて確認できました。
症例検討会
症例検討会では、眞野 富也 先生(吹田徳洲会病院)の2症例、南 幸佑 先生(藤枝市立総合病院)の1症例を含む計5症例が紹介され、合併症対策について学ぶことができました。
初めてのハイブリッド開催でしたが、コロナ前と同じもしくはそれ以上に充実した内容でした。
開催日:
2022年7月30日(土)
会場:
京都産業会館ホール 2階「北室」
〒600-8009 京都府京都市下京区函谷鉾町78番地
https://www.ksk.or.jp/
当日はオンラインにて視聴が可能です。
オンラインでの参加の場合も参加登録をお願いいたします。
開催前に視聴のURLをお送りいたします。
プログラム:
こちらの【ファイル】をご覧ください。
対象:
医師:5,000円 / 視能訓練士・看護師・その他:1,000円 / 企業:5,000円
お問い合わせ:
参加登録事務局(JTBコミュニケーションデザイン内)
email: refractive@jtbcom.co.jp
LASIK関西事務局
email: c-mrmt@koto.kpu-m.ac.jp
2019年 第19回印象記 京都府立医科大学 眼科 稗田 牧
本年のRefractive Surgery Update Seminarは2019年8月31日にメルパルク京都でおこなわれました。ここ2年間参加者が減少傾向でしたが、今年はやや増えて150人ほどでした。
最初に代表世話人の木下茂先生が開会の辞として、この会の目的は「視機能の勉強」を行うことにあること、来年第20回は2020年8月22日、メルパルクで開催予定であることがのべられました。
第一部(教育セミナー1)
教育セミナー1は近視治療 up dateでした。まず、「近視進行の実態」として京都府立医大の中井義典先生から、小学生の近視進行の予測因子として眼軸が重要であること、眼軸1mm延長で小学生は2D程度近視化することがのべられました。次に「0.01%アトロピンの真実」として、自治医大の木下望先生は0.01%アトロピンの近視進行抑制効果は59%とオルソケラトロジーよりも強いが、オルソケラトロジーに併用すると3D以上の近視では相加効果に乏しいことを発表されました。「近視眼の眼底変化」として、鹿児島大学の山下高明先生は、幼児期の栄養がよくなりすぎたことが近視化の原因である、という面白い説をのべられました。
第二部(教育セミナー2)
教育セミナー2は角膜屈折矯正手術 up dateでした。「レーシック」について私が、レーザー照射の中心について、固視した同軸の瞳孔中心であることを確認し、その問題点と解決方法について話をしました。
次に、「スマイル」について名古屋アイクリニックの中村友昭先生が、現在の設定ではフラップ120μm、ベッド300μmで近視は8.5D、乱視は3Dぐらいまで治療していて、22歳の娘さんもSMILEをしたことをのべられました。
「クロスリンキング」について北里大学の神谷和孝先生は、カスタムクロスリンキングの有効性について、さらにカシアの画像を使ったAIによる円錐診断で正確度90%まで進んでいることを報告されました。
「自由診療の臨床研究」についてデジタルハリウッド大学の加藤浩晃先生は、「診療」と「研究」はそもそも同時にしてはならないことを確認された。そのうえで、特定機能病院で「高難度新規医療技術」を開始する場合には、評価委員会で実施の判断をうけることが義務化されていこと、ただし大学病院以外の施設では努力義務にとどまることを解説されました。
ランチョンセミナー
ランチョンセミナーは4つのメーカー製品について発表がありました。
トメモリ眼科、留守良太先生は、新しい三焦点レンズの使用経験をのべられ、アイモという特殊な視野計でコントラストやグレアを評価していました。
私は「目で見る調節力検査」として、他覚的な調節機能検査の使用経験を話させていただきました。
みなとみらいアイクリニック、荒井宏幸先生はレンティス コンフォートの治験成績を報告され、高い患者満足がえられていました。2017年のリコール後にはカルシウム沈着はないとのことでした。
吹田徳洲会病院アイセンター、真野富也先生は顆粒状角膜変性症に対するPTKの先に白内障手術を行い、白内障術後-5.5Dにして、100μm程度近視矯正する方法で混濁を除去し、よい成績を得ていました。
シンポジウム
多焦点レンズ診療のゆくえは来年度、多焦点眼内レンズが先進医療から外れることが予想されるなか興味深い討論がなされました。
まず一人ずつの発表があり、衆議院議員吉田統彦先生は「多焦点眼内レンズのゆくえ」として、多焦点眼内レンズ手術が先進医療からははずれ、選定療養となる可能性についてのべられました。いずれも保険外併用療養費制度のなかにあり、先進医療は保険適応をめざすが、選定療養はそうではない制度で、あらゆる医療を保険に入れることが正しい方向か考える時期に来ているようでした。また、新たに患者が望む医療を実現する選択療養という考え方もあることを示されました。
林眼科病院、林研先生「トリフォーカルの使い方」として、もうすぐ発売される3焦点眼内レンズの特徴を紹介され、遠視ズレに弱いこと、ハローがあることなどをのべられました。
荒井宏幸先生「レンティスの使い方」として、加入度数が強いと光のにじみを感じるので、必要に応じて回転させると症状がなくなることをのべられました。
ツカザキ病院、野口三太朗先生は「EDOF の使い方」として、各レンズ特徴を詳細に解説され、モノビジョン、ブレンドビジョンなど多彩な選択肢の可能性を示されました。
岡眼科飯塚クリニック、岡義隆先生は「フェムトの使い方」として、フェムトセカンドレーザー白内障手術機器で難症例の手術成功率があがることを最大のメリットとしていました。現在、日本はフェムトが80台で年間1.1万症例しかされていないが、米国では1000台以上、年間43万件なされている現実は、日本の白内障手術が新しい流れに完全に遅れていることが感じられました。
討論のなかで、荒井先生から、「保険と自費の2つの、元にもどるだけ」という発言は説得力がありました。保険制度のなかで、病気を治すためほかにかわるもののない「治療」か、そうではない「付加価値」か、今後さらに厳密に分けられていく傾向にあるようです。
症例検討会
症例検討では、5人の演者から興味深い症例が発表されました。
中村友昭先生から「RK後は手強い」は、RK後の白内障手術にピンホールレンズを挿入し遠視化した症例に、アドオンレンズをいれたところ、ブロックをおこした症例でした。サルカス固定する場合には虹彩切開を入れたほうがいいとする説もあるようでした。
よしだ眼科クリニック、吉田稔先生から「LENTIS comfortのインジェクターでのトラブル症例」が紹介されました。インジェクターの先が創口に挟まって取れなくなる現象で、セッティングの不具合の可能性があります。
バプテスト眼科、山村陽先生「Epi-LASIKで不正乱視となった症例」では、眼表面に問題がある症例にEpi-LASIKをしたところボーマン膜が一部剥離してしまい、術後不正乱視になった症例でした。術前に前眼部OCTでボーマン膜をチェックする必要がありそうです。
神谷和孝先生「白内障手術後にRefractive surpriseを生じた一例」は強度乱視症例で遠視にずれた場合、ICLをサルカス固定して矯正していました。
眞野富也先生「強度近視例で多焦点IOL挿入後屈折誤差が生じた症例」は強度近視眼で遠視にずれた場合、IOLをピギーバック法でサルカス固定したところ、術後ブロックを起こしたが、アトロピンで解除しました。
丸1日さまざまな発表があり、自分自身とても勉強になった19回目のアップデートセミナーでした。
日時:
2019年8月31日(土)9:00〜17:30、終了後、情報交換会
会場:
メルパルク京都
〒600-8216 京都府京都市下京区東洞院通七条下ル東塩小路町676番13
tel:
075-771-7111(代表)
プログラム:
こちらの【ファイル】をご覧ください。
<詳細な時間を記載したプログラムは【こちら】>
会費:
医師 5000円 / 企業 5000円 / コメディカル 1000円
定員:
150名
お問い合わせ:
参加登録事務局(JTBコミュニケーションデザイン内)
email:refractive@jtbcom.co.jp
LASIK関西事務局
email: c-mrmt@koto.kpu-m.ac.jp
2018年 第18回印象記 京都府立医科大学 佐々木 美帆先生
2018年7月21日(土)メルパルク京都において第18回Refractive Surgery Update Seminar が開催されました。本セミナーは2001年からレーシック関西として始まり、現在まで毎年続いている屈折矯正手術専門のセミナーです。
今回は角膜屈折矯正手術だけでなく、コンタクトレンズから乱視矯正白内障手術、多焦点眼内レンズ、近視進行抑制まで多岐に渡る講演があり、眼科医だけでなくコメディカルの方も多数参加されていました。
第一部(教育セミナー)
第一部(教育セミナー)は『コンタクトレンズup date』と『乱視矯正白内障手術』でした。『コンタクトレンズup date』では、2017年2月のオルソケラトロジーのガイドライン改正に伴ってポビドンヨードによる消毒の推奨や未成年への処方拡大について、安全性や内皮減少の程度は成人と差がないことや、成人と比較すると1年半以降やや裸眼視力の低下があることについて触れられました。遠近両用コンタクトレンズについては、具体的な処方の仕方として近くが見づらい時はレンズの上から非優位眼に+0.25Dから+0.50Dを追加し、遠くが見づらい時はレンズの上から優位眼に-0.25Dから-0.5Dを追加する方法について説明されました。ポイントは必ず両眼開放レフを測定することです。また、小児の無水晶体眼へのコンタクトレンズ合わせではテストレンズ上でスキアを行い、-2.0Dから-4.0Dであることを確認することが重要とのことでした。コンタクトレンズの装用ができる児は2/3くらいであり、Dk値の高いレンズとしてメニコンのティニューやサンコンマイルドUVがあります。乱視矯正についてはトーリックだけでなく、フェムトセカンド乱視矯正や術後のタッチアップについて各々の長短所が示されました。トーリックは術直後から術後1時間までが最もローテーションが大きく、軸ずれの修正の最適時期は術後7〜14日、残余乱視による明視域の拡大効果により満足が得られる症例もあるようです。ただ、-0.75Dから-1.5Dの乱視はトーリックでは対応が難しくフェムトセカンドレーザーの適応となります。AKはOCTガイド下、コンピュータ制御下で行い、上皮を温存できることが利点ですが、高齢者や緑内障症例、フラップ作成困難例や遠視症例には注意が必要です。
ランチョンセミナーでは、4つの最新の話題が取り上げられました。まず、OPD-Scanは解析径が6.0mmであり、最新活用法として角膜輝点中心トポガイド照射、水晶体機能不全(stage1-3)の診断、多焦点レンズの選択について説明されました。続くWavefront guided LASIKについての講演では、フェムトセカンドレーザーとiDesignを用いると術前後の高次収差の変化は0.2μのみであり、コントラスト感度の変化も従来と比較して有意に低下が少ないとのことでした。現在はiDesign2.0、Topo-integrated-wavefront-guided procedureが開発中であり角膜形状も取り入れた真のカスタム照射に変化しつつあるようです。また、2018年7月に発売されたACTIVEFOCUSについては、遠方重視でコントラスト低下やグレア・ハローが少ない一方で30cmあたりは少し見づらそうという印象を持たれているようで、術前-2.0未満の近視ならACTIVEFOCUSを選択しているとのことでした。また、4つ目のセッションはオンライン診療や医療制度改革に関する講演であり、屈折矯正を様々な角度から学んだお昼休憩でした。
第二部(シンポジウム)
第二部(シンポジウム)は『屈折矯正ダイバーシティ』というお題で、コンタクトレンズ・手術・オルソケラトロジー、眼鏡、それぞれの立場から4名の先生方が講演されました。コンタクトレンズがベストという立場からは、片眼弱視の治療として眼鏡ではなくコンタクトレンズとアイパッチの併用という興味深いお話がありました。手術の立場からは感染のリスクについてはコンタクトレンズと比較して一概に高いわけではなく、シリコンハイドロゲルレンズやオルソケラトロジーレンズと比較するとむしろ低いことを示されました。また、日本と海外の屈折矯正手術の違いとして、日本はフェムトセカンドレーザーのみでフラップ作成している施設は25%で海外と比較すると少なく、50%の施設はマイクロケラトームのみで作成しているとのこと、日本はカスタマイズド照射が少なくコンベンショナル照射が85%でかなり多いことが挙げられました。また、オルソケラトロジーは56%が未成年であり、近視進行抑制効果については5年で約30%、2年研究では36〜63%の報告、メタ解析でも有意な眼軸伸長抑制効果が報告されています。近視進行抑制用オルソケラトロジーレンズは、意図的にOZを縮小し瞳孔領内の多焦点性が上がっているという利点がある一方で、特にリバースカーブは汚れやすく、感染の起因菌は緑膿菌52%、アカントアメーバ30%であることを示されました。最後に眼鏡については、メリットはみかけの調節力やプリズム効果、デメリットは不等像視による眼精疲労や空間感覚の異常、周辺視での像のボケ、不正乱視の矯正ができないことが挙げられましたが、現在はレンズの材質や屈折率の改善がなされており、multi-segment myopic defocusという眼鏡は近視抑制との関連もあるのではないかというお話でした。
JSCRSシンポジウム
続くJSCRSシンポジウムでは『屈折矯正よもやま話』という気の張らないお題で、LASIKの眼軸長伸長抑制効果やSMILE術後はドライアイにならないのか、EVO+はハローが減るか、といった屈折矯正手術の気になるところについて講演されました。眼軸長に関しては近視は20代以降も進行するということを示された後で、LASIK術後の眼軸長の変化や軸外屈折について自施設のデータを示されました。またLASIKとバイオレットライトとの関連についても触れられました。
第三部(症例検討会)
最後の症例検討会は4名の先生方による貴重な症例提示でした。ICLがひっくり返った症例や30代の高度遠視(片眼は弱視)の症例の眼内レンズ選択等、悩みどころの多い症例がリアルな手術動画とともに提示されました。また、トポガイドクロスリンキングについてのお話では従来のクロスリンキングとは異なり、ペンタカムのデータを元にeye tracking機能を使用して急峻化領域をフラット化させる方法で、BCVAの向上が約80%ということでした。その他、ペースメーカ挿入患者にエキシマレーザーは禁忌か、という言われてみればというお話もあり、大変興味深い検討会でした。
以上が今年度の報告ですが、毎年内容がアップデートされており、朝から夕方までとても密度の濃い内容で1日でこれだけ勉強になる会は全国学会でもなかなかないのではと思いました。1年後の開催が今から楽しみです。
なお、次回は2019年7月27日に今回と同じメルパルク京都で開催されますので、是非多くの方に参加していただきたいと思います。
日時:
2018年7月21日(土)9:00〜17:30、終了後、情報交換会
会場:
メルパルク京都
〒600-8216 京都府京都市下京区東洞院通七条下ル東塩小路町676番13
tel:
075-771-7111(代表)
プログラム:
こちらの【ファイル】をご覧ください。
<詳細な時間を記載したプログラムは【こちら】>
会費:
医師 5000円 / 企業 5000円 / コメディカル 1000円
定員:
150名
お問い合わせ:
参加登録事務局(JTBコミュニケーションデザイン内)
email:refractive@jtbcom.co.jp
LASIK関西事務局
email: c-mrmt@koto.kpu-m.ac.jp
2017年 第17回印象記 京都府立医科大学 佐々木 美帆先生
2017年7月22日(土)にメルパルク京都において、Refractive Surgery Update Seminarが開催されました。本セミナーは日本で唯一の屈折矯正手術専門のセミナーであり、今年で17回目を迎えました。
第一部(教育セミナー)
「近視update」では、近視進行の環境要因として近業時間の増加や睡眠時間の減少や屋外活動の減少等が挙げられました。身体活動が近視進行を抑制する機序として、遠方視の他に光環境(照度)があり、その背景として高照度群より低照度群では有意に眼軸が延長すること、ブラジルでは眼軸長が短いことについて話されました。近視の進行に関しては、KCRS(Kyoto childhood refractive error study)の結果から初年度の眼軸が長いほど近視が進行することや水晶体の厚みと近視進行に関連があるということでした。また、強度近視の網膜病変のうち、黄斑円孔網膜剥離についてはInverted ILM flapによって黄斑円孔の閉鎖率が90%以上となったこと、近視性脈絡膜新生血管は中高年女性に多く、強度近視眼の10%に発症し、50歳以下のCNVの60%を占めること、8年以内に30%が僚眼に発症することについても言及されました。「屈折矯正的白内障手術」では、多焦点IOLやフェムト白内障手術、術中測定についてご講演頂きました。多焦点IOLの良い適応は、近方視力低下、眼鏡への依存を減らした生活を希望している患者さんであり、瞳孔径が小さい人や緑内障や黄斑変性、角膜混濁等の白内障以外の眼疾患を有する人や神経質な人は勧めにくいということでした。FLACSについては、精確性、再現性が非常に高いこと、前嚢切開が1.5秒でできること、100μmまで細かい核切開が可能である等、極めて精密であることを挙げられ、視軸と光学中心を一致させるポイントについても触れられました。術中測定の講演では、実際の24歳、アトピー性皮膚炎のある成熟白内障で多焦点IOLを希望された症例を提示して頂き、具体的な治療に関するお話を聞くことができました。
ランチョンセミナーの1つ目は、「今、LenSx®があつい!」と題して札幌かとう眼科の加藤祐司先生がご自身のクリニックにLenSx®を搬入するところの苦労話からVERION+ORA術中波面収差解析装置について紹介されました。ORAは取り外しが容易であること、LenSx®は頭部固定の必要がなく、ドッキングが容易で眼圧上昇が比較的少ない(16mmHg以下)こと等の特徴について、実際のクリニックのビデオ動画を交えつつご講演頂きました。2つ目は、中島眼科クリニックの中島伸子先生に「今しかない、小児の屈折矯正」と題して、近視、遠視、不同視に対して一般外来で可能なfull medicationについて詳しくご講演頂きました。また、ARK1-S®を用いた調節検査についても実際の症例を提示しながら説明されました。
第二部(シンポジウム)
円錐角膜の治療について、保存的治療から外科的治療まで5名の先生方にご講演頂いた後、活発なパネルディスカッションが行われました。フラットと多段階CLの比較では、自覚的な見え方はフラットのほうが良いこと、球面やエムカーブタイプはflat methodで合わせて多段階はapical touchで合わせることを含め、前眼部写真を多用して分かりやすく説明されました。強膜レンズ(PROSE®)は、径18mmのガス透過性HCLでliquid bandage効果による眼表面保護作用、角膜に接触しない、HCLとしての不正乱視矯正効果といったメリットがあること、デメリットとしてはデブリスの沈着が挙げられました。クロスリンキングやフェイキックについては、多数例のご経験を踏まえて長期経過を含めお話頂きました。また、角膜移植の成績に関しては、長期の安全性を重視するならDALKだが、見え方はPKPの方が良好であること、眼軸長が24.5mmを超える症例ではsame size graftを入れてフラット化させるということでした。
JSCRSシンポジウム
白内障、屈折矯正に関わる最近の話題からということで、老眼に対するビルベリーの有効性について検討され、調節力と暗所コントラスト感度はビルベリー群では改善を認めたという結果が示されました。また、白内障の点眼治療としてラノステロールがあり、アメリカでは既に市販されていること、臨床治験中の老眼予防点眼薬がクリスタリンのジスルフィド結合を離開し、水晶体を柔らかくさせる効果があると説明されました。 また、Hole ICLについてはまずhole ICLの特徴として光学部中央に0.36mmの孔があいており、素材はコラマーで薄く柔らかいこと、保存液がBSSに変更になったことでhole ICLになってから翻転しやすくなったことを説明されました。さらに実際に使用する際の注意点としてカートリッジにまっすぐセッティングされているか、カートリッジに充填後速やかに使用すること、レンズが翻転した際の対処法等について具体的にお話頂きました。
第三部(症例検討会)
4名の先生方が実際に経験された症例、現在困っておられる症例について提示されました。 円錐角膜疑いの不正乱視を有する症例で多焦点IOLを希望された症例の白内障手術について、白内障手術後に生じた両眼角膜潰瘍の症例、縫着IOL眼の屈折異常の症例、顆粒状角膜変性症に対するPTK後の視力矯正方法としてのピギーバック、LASIK後10年以上経過した症例のenhance方法について、等々おそらくこのセッションで一番議論が白熱したと思われ、大変興味深く拝聴しました。
本セミナーは屈折矯正分野について一日でアップデートができ、どのセッションも明日からの実際の臨床の場に役立つ内容が満載で大変有意義でした。
来年度(2018年7月21日)も楽しみです。是非多くの方々に参加して頂きたいと思います。
日時:
2017年7月22日(土)9:00〜17:30、終了後、情報交換会
会場:
メルパルク京都
〒600-8216 京都府京都市下京区東洞院通七条下ル東塩小路町676番13
tel:
075-771-7111(代表)
プログラム:
こちらの【ファイル】をご覧ください。
会費:
医師 5000円 / 企業 5000円 / コメディカル 1000円
定員:
150名
お問い合わせ:
参加登録事務局(JTBコミュニケーションデザイン内)
email:refractive@jtbcom.co.jp
LASIK関西事務局
email: c-mrmt@koto.kpu-m.ac.jp
2016年 第16回印象記 京都府立医科大学 眼科 張 佑子
7月30日(土)にメルパルク京都においてRefractive Surgery Update Seminarが開催されました。
第一部
第一部(教育セミナー)は『屈折検査』と『白内障手術と屈折矯正』についての教育セミナーがありました。
『屈折検査』では検査の基本と、外傷後に視力良好でも調節障害がおきている場合や不適切な眼鏡矯正で調節痙攣をきたす場合があり、屈折度の確認や自覚屈折度とレフの差がないか等、気をつけるポイントを学びました。また、すでに角膜形状解析装置として広く使用されている前眼部光干渉断層計(AS-OCT)で新たに登場したCASIA2(TOMEY)は測定時間がより早く、撮影範囲も広くなっており、年齢軸や時間軸に対する角膜パラメーターの経時的変化、白内障手術向けのアプリなど様々な機能の使いこなし方を解説していただきました。
『白内障手術と屈折矯正』では高齢者へのレーシック、難症例のトーリック眼内レンズ、Add-onレンズ、レンズ入れ替えと強膜固定について解説していただきました。バプテスト眼科クリニックでは高齢者の白内障術後屈折誤差に対するタッチアップとしてレーシックを行っており、瞼裂が狭いとサクションリングかけにくく、老人環が強いとフラップ作成が不十分になる可能性があることに注意が必要ですが、レーシック術後屈折誤差±0.5D以内は70%以上と良好であり、90歳以上の方でも可能とのことでした。
トーリック眼内レンズの適応は、直乱視は1.5D以上を適応とし、角膜後面が倒乱視なので過矯正すると倒乱視化することに注意してレンズを選択する必要があるということ、Add-onレンズは高額な治療となるものの、多焦点眼内レンズの適応に悩む症例や円錐角膜や移植後眼への2期的手術で有効であることが示されました。眼内レンズ(IOL)入れ替えでは麻酔をしっかり行い、角膜内皮保護のために粘弾性物質をこまめに入れ、ハプティクスを眼外に出して把持しておき2分割するのがオーソドックスな方法として示されました。
ランチョンセミナーではLenSx®レーザーによる白内障手術としてVERION+ORAシステムが紹介されました。無水晶体眼の状態で術中に収差測定し屈折情報を得ることで、レンズ選択とTORICの乱視軸補正を行い、さらに精度改善が得られるというものでした。
オルソケラトロジーアップデートセミナーでは治療適応の屈折度、効果のでる原理、認可されているレンズ、レンズ選択方法について解説していただき、中央部の角膜上皮が周辺に移動してフラットになり周辺がスティープとなり、10μm薄くなると2D程度の矯正が得られるということでした。
第二部
第二部(シンポジウム)では『チャレンジ!フェムト白内障』として様々な難症例が提示されました。
チン小帯脆弱例においてフェムトのメリットは前嚢切開やUSの負荷が減らせる、前嚢切開が1.5秒で可能である、100μmまで細かい核切開が可能なことがあげられました。
成熟白内障ではコンプリートを目指す照射条件として、膨化白内障では垂直方向のピッチを細かく設定し前嚢付近で何度も速く周回させることで前嚢にヒットする確率を上げる、若年では切開径を小さめに設定するなどのポイントが紹介されました。設定エネルギーが高いほど切開縁の伸展性低下や脆弱性を認めると報告されていますが、臨床上は問題となっていないとのことです。
小瞳孔症例は角膜内皮減少、チン小帯脆弱、核が硬く手術の難度が高いなどの問題点がありますが、事前に瞳孔切開を加えることで安全にフェムト白内障手術可能であることが示されました。
核分割では柔らかい核ではグリッドパターンを400μmとし、固い核だと200μmにして細かく割るなど、症例毎の対応も多く提示していただけました。
JSCRSシンポジウムでは『眼軸長測定装置アップデート』としてIOLマスター700、レンズスター、OA2000の3機種について解説していただきました。
IOLマスター700は後嚢下白内障に強くなり眼軸長の測定率が上がったこと、従来のHaigis式、トーリックIOL用のHaigis-T、屈折矯正手術後対応のHaigis-Lの3つが入ったHaigis Suiteを搭載しているということでした。レンズスターはタイムドメインOCTですが計算式が色々あり、Tコーンをつけるとトポグラフィもとれるということ、OA2000は2016年6月に前房深度測定がバージョンアップしたということであり、いずれも白内障手術前の検査に利用したい魅力的なものでした。
第三部
第三部の症例検討会では6名の医師が悩んだ症例を提示しました。
レーシック術後に格子状角膜ジストロフィのような混濁をフラップの層間に認めたが、家族歴がなく遺伝子検査でも検出されなかった症例の提示、レーシック術後10年以上たった人へのenhanceの方法、多焦点眼内レンズ挿入後の不満症例に対する対応、多焦点眼内レンズ挿入後に生じた曇りが解決するまでの苦労、多焦点眼内レンズの強膜内固定など、会場全体で議論が盛り上がり非常に勉強となりました。
今回で4回目の参加となりましたが、毎回バージョンアップしており、1日楽しく勉強できる場と改めて感じました。次回は2017年7月22日に今回と同じメルパルク京都で開催されますので、是非大勢の方に参加していただきたいと思います。
日時:
2016年7月30日(土)9:00〜17:45、終了後、情報交換会
会場:
メルパルク京都
〒600-8216 京都府京都市下京区東洞院通七条下ル東塩小路町676番13
tel:
075-771-7111(代表)
プログラム:
こちらの【ファイル】をご覧ください。
会費:
医師 5000円 / 企業 5000円 / コメディカル 1000円
定員:
100名
お問い合わせ:
参加登録事務局(JTBコミュニケーションデザイン内)
email:refractive@jtbcom.co.jp
LASIK関西事務局
email: c-mrmt@koto.kpu-m.ac.jp
2015年 第15回印象記 京都府立医大眼科 張 佑子
7月25日(土)、メルパルク京都においてRefractive Surgery Update Seminarが開催されました。
第一部
第一部(午前)は教育セミナーとして『屈折検査』(座長 稗田牧先生)について3人の演者による講演がありました。「調節検査」(中島伸子先生)では調節の仕組み、検査の方法と判定について解説していただきました。最近開発されている調節機能測定付きレフラクトメーターは操作が簡易で幅広い年代層で検査可能ということであり登場を楽しみに待ちたいと思いました。「両眼視機能検査」(半田知也先生)ではOcclu-Pad®という訓練ゲームを用いた、両眼開放でriskがなく視力の発達が早いという画期的な弱視治療が紹介されました。「眼軸長測定とIOL度数計算の選択」(比嘉利沙子先生)では IOL度数計算式の選択について外れたK値、不均衡な眼球など特に屈折度数のずれを生じやすい症例について解説していただきました。Swept source OCT(SS-OCT)IOL Master 700が登場し、さらに精度が上がる計算式が今後登場するのか注目したいと思います。
『多焦点眼内レンズをもっと使おう』(座長 中村友昭先生)では4人の演者による講演がありました。「患者選択」(根岸一乃先生)では多焦点レンズが望ましくない症例の特徴について解説していただきました。ライフスタイルや職業によっては多焦点レンズが合わない場合もあり、適応を見極めるコツを得ることができました。「レンズの選択」(真野富也先生)では未承認プレミアムIOLについても紹介していただき、承認レンズでは対応できない距離に対して改善の余地があることが分かりました。「フェムト白内障での実際」(小室青先生)では1.5秒でCCCが完成し、核のフラグメンテーション、角膜乱視矯正の追加など白内障手術に画期的な技術を紹介していただき、多焦点レンズ・トーリックレンズ挿入において精度と安全性が高い手術方法であると思いました。「術後不満例への対応」(岡義隆先生)では術前説明が大事であるのはもちろんですが、術後に「必要以上に不満を引き出さない」というお話に非常に感銘を受けました。
ランチョンセミナー(座長 稗田牧先生)では廣田篤先生と岡義隆先生にベリオンを用いた白内障手術についての講演があり、トーリックレンズの軸合わせに非常に有用なデバイスであると感じました。
第二部
第二部(午後)はシンポジウムとして『レーシックをどう考えるか』(座長 木下茂先生)がありました。
大学病院の関連施設として脇舛耕一先生、フリーの眼科医師として安田佳守臣先生、開業医として遠谷茂先生と坪井俊児先生にご講演いただきました。LASIKの適応、安全性、問題点などに加えてパネルディスカッションではLASIK復活の鍵について熱い意見交換がありました。LASIK実施施設で術前に十分に説明を行うのはもちろんですが、大学教育やメディアにおいて正しい知識の啓蒙活動が重要であると思われました。
JSCRSシンポジウムは『円錐角膜アップデート』(座長 根岸一乃先生、宮田和典先生)で4人の演者の講演がありました。「円錐角膜の基礎と臨床 総論」(前田直之先生)では円錐角膜の検査と進行予防、治療法について、「角膜クロスリンクアップデート」(加藤直子先生)では円錐角膜進行を停止させるクロスリンク(CXL)の適応と治療の実際をDresden ProtocolとEpi-on CXL、短時間型CXLについて解説していだきました。「角膜実質内リング(ICRS)アップデート」(荒井宏幸先生)では応用編としてICRS とphakic IOLを組み合わせた治療についてもお話いただき、角膜リングは変形した角膜形状を変化させる手段として有効であることを示していただきました。「円錐角膜に対するIOL」(神谷和孝先生)では後房型Toric ICLの長期経過について示していただき、適応について詳しく解説していただきました。
第三部
第三部では『症例から考える白内障・屈折矯正手術例』(座長 真野富也先生)で中村友昭先生よりHCL装用を希望されない円錐角膜の男性に角膜リングを1本挿入し裸眼・矯正視力ともに向上を得られた例、神谷和孝先生よりHCL装用困難となった円錐角膜の白内障術後に近視ずれを認め、トーリックレンズの軸は問題なくICL piggybackを選択して良好な視力が得られた例、福永崇樹先生より多焦点レンズ強膜内固定後タッチアップを行い良好な視力を得られた例、稗田牧先生よりフラップが裂けた上皮ingrowthによる視機能障害に対する接着剤の使用例、檜野亜矢子先生よりチン氏帯脆弱白内障に対してフェムトセカンドレーザーでCCCをきれいに行えた症例が紹介されました。いずれも自分で行ったことがない治療であり、大きな刺激となりました。
3回目の参加となりましたが、毎回非常に面白く、最後まで集中力が途切れませんでした。専門外の先生方にも必ず日々の診療に役立つお話ですので、是非多くの方に参加していただきたいと思います。来年も京都で開催されるということであり楽しみにしております。
日時:
2015年7月25日(土)9:00〜17:45、終了後、情報交換会
会場:
メルパルク京都
〒600-8216 京都府京都市下京区東洞院通七条下ル東塩小路町676番13
tel:
075-771-7111(代表)
プログラム:
こちらの【ファイル】をご覧ください。
会費:
医師 5000円 / 企業 5000円 / コメディカル 1000円
定員:
100名
お問い合わせ:
参加登録事務局(ICSコンベンションデザイン内)
email:refractive@ics-inc.co.jp
LASIK関西事務局
email: eueno@koto.kpu-m.ac.jp
2014年 第14回 印象記 京都府立医大眼科 中井義典
今年も本アップデートセミナーが、例年より少し早く5月24日に京都にて開催された。2001年からレーシック関西として始まり現在まで継続する、屈折矯正手術専門のセミナーとしては日本で唯一のセミナーである。近年はレーシックのみならず白内障手術分野も含み、今回も医師のみでなくコメディカルも含めて197名と多数の参加者があった。
第一部
第1部(座長 大阪大学前田直之先生)は、京都府立医大の長谷川奈美先生による、ARK1による調節機能検査の紹介と、周辺屈折検査の近視進行抑制研究への応用の可能性についての講演から始まった。北里大学の神谷和孝先生は、最近LASIK術後セカンドオピニオンの中で、かつて多かった不正乱視よりも遠視ずれの訴えが増えているのでは、という疑問点から、調節麻痺下での屈折検査ができていないだけでなく、視力検査そのものの精度を問う講演で、3D visual function trainerを使用すると両眼開放下での検査が可能で、正常でも近視が強く若年であると他覚のみでなく自覚の屈折も近視よりに出ることがあるとのことであった。京都府立医大稗田牧先生は、OCTによる角膜上皮マップ作成についての講演で、正常では上方が薄く円錐角膜では頂点が薄い、偽円錐は逆、角膜カーブが急峻な箇所では厚く、実質が薄いところは上皮が充填する、といった法則の紹介があった。また角膜屈折矯正手術後症例を中心に、多くの症例提示をしていただいた。
第2部(座長 稗田先生)は、LASIK手術後白内障手術での眼内レンズ計算方法についてであった。東京女子医科大学の須藤史子先生には総論と、複数の計算式を用いること、LASIK施行施設では患者への術前データの重要性についてご講演いただいた。大津市民病院の栗林洋子先生からは術前データを用いる方法の一つとしてCamellin-Calossi式の有用性についての報告があった。次に宮田眼科の宮田和典先生より、光線追跡法であるOKULIXを用いると術前データがなくても実測値のみで高精度の計算が可能であり、OCTで角膜前後面を測定することでさらに精度が高まること、ただし角膜不正乱視例には使用できない、最適化できないといったデメリットもあることをご紹介いただいた。慶応大学の根岸一乃先生は術前データを使用しないnon-history法の一つとして独自のA-P法についてご講演いただいた。数多くの計算式について復習とアップデートができたが、いまだにどの計算方法が最も適当か、2つか3つには決められない状態のようであった。 ランチョンセミナー(座長 近畿大学下村嘉一先生)では白内障手術器械の進歩として、稲村眼科の稲村幹夫先生より、新しい超音波チップを使った手術と、場面に応じた設定の組み合わせについてお話しいただき、さらに最新器械の特徴と次世代チップの使用経験についても、動画を中心にご紹介いただいた。大内眼科の大内雅之先生は、インジェクターを用いた眼内レンズ挿入時には、創口通過時間を短縮することでダメージを軽減できることをわかりやすく説明され、そのためにも新しい電動インジェクターが大変有用であると力説された。
第二部
シンポジウム(座長 多根記念眼科病院真野富也先生)ではフェムトセカンドレーザーを使用した白内障手術についての講演で、中京病院の市川一夫先生より、弧状切開創プログラムの可能性、各種眼内レンズによる形状設定や成熟白内障症例における前嚢切開での有意性、核処理での超音波パワー軽減についてご講演いただいた。小室眼科の小室青先生は、クリニックでの約1年間の使用経験から、器械設置の実際から手術での使用についての流れについて具体的に、詳しくお話いただいた。東京歯科大学のビッセン宮島弘子先生は、難症例手術にこそフェムトセカンドレーザーが有用であるものの、狭い眼瞼や角膜混濁例など、レーザー特有の難症例があることを、実際の症例と手術動画を供覧してお話しいただいた。
第2シンポジウムは根岸先生を座長にJSCRSシンポジウムとして、今年の屈折矯正眼内レンズ学会でのトピックスでもあった多焦点眼内レンズのアップデートについて講演があった。ビッセン先生からは乱視矯正多焦点眼内レンズの使用経験について、角膜前面のみならず、後面も含めた角膜全乱視を考慮した適応が重要とのことであった。みなとみらいアイクリニックの荒井宏幸先生は、新しい屈折型多焦点眼内レンズLENTIS®について、MplusおよびMplusXの手術結果を、回折型レンズとの比較を中心にお話しいただいた。多根記念眼科病院の福岡佐知子先生は回折型レンズについて、稲村先生は屈折型レンズの、それぞれ特性による長所と短所、不満症例の経験とその対処について、実際の症例を提示されて詳しくお話しいただいた。回折型では屈折ずれに対するレンズ入れ替えやLASIKによるタッチアップが有効で、屈折ずれがない不満症例の中にはレンズの光学特性による不適合が存在するようである。屈折型ではグレアによる夜間の運転困難症例が、特に片眼挿入例では適応が難しい症例があるとのことであった。
第三部
恒例の症例検討(座長 真野先生、前田先生)では、有水晶体眼内レンズ挿入後の白内障(稗田先生)、他院でLASIKを5回も施行した後の単眼複視を訴える症例(神谷先生)、I/Aチップが原因の、多焦点レンズ挿入例での後嚢破損、白内障術後の光視症(真野先生)といった、通常の学会では発表されないような特殊症例について、興味深く有意義な検討があった。
以上、非常に有意義な1日となるセミナーであった。来年は例年通り7月に開催予定であるので、楽しみにしている。
日時:
2014年5月24日(土)9:00〜17:45、終了後、情報交換会
会場:
ウェスティン都ホテル京都 瑞穂の間
〒605-0052 京都市東山区三条けあげ
tel:
075-771-7111(代表)
プログラム:
こちらの【ファイル】をご覧ください。
会費:
医師 5000円 / 企業 5000円 / コメディカル 1000円
定員:
100名
お問い合わせ:
参加登録事務局(ICSコンベンションデザイン内)
email:refractive@ics-inc.co.jp
LASIK関西事務局
email: eueno@koto.kpu-m.ac.jp
2013年 第13回 印象記 京都府立医大眼科 中井義典
第一部(午前)は教育セミナーとして、「屈折矯正検査 角膜・水晶体」(座長 前田直之先生)が行われました。角膜トポグラフィーの評価(福岡佐知子先生)で、各種角膜形状解析装置の使用と、屈折矯正手術におけるその意義について基本からおさらいしていただきました。小児での評価法(稗田牧先生)として、眼軸長など近年は非接触で測定可能になりつつある多くのデータについて、小学生の経年変化と近視進行のメカニズムについての考察までお話しされました。光学系の評価(神谷和孝先生)について収差のみならず散乱を含めた測定装置について、加齢による眼球光学特性の変化や新しい有水晶体眼内レンズの解説をしていただきました。角膜生体力学特性(渕端睦先生)では、角膜の強度を測定する新しい装置の紹介と、バイオメカニクスの観点からこの測定意義について解説していただきました。続いて同じく教育セミナー「乱視矯正と白内障手術」(座長 真野富也先生)では、乱視矯正のコツと注意点(大内雅之先生)として、トーリックIOLを使用するための実際の術前検査方法からマーキング、術中の注意点と術後評価について解説していただきました。
トーリックIOL update(柴琢也先生)では、本レンズの歴史から、角膜後面形状も加味した乱視の評価をはじめ最新の知見と、今後の新しい展開についてお話しいただきました。回析積分で計算したランドルト環像(乱視と多焦点)(柏木豊彦先生)では、乱視や、多焦点およびトーリックIOLの見え方について、数学的に計算されるランドルト環像につき解説していただきました。多焦点および乱視矯正多焦点レンズの2次挿入後術後成績(藤本可芳子)では、多焦点レンズのadd on挿入について、実際の経験に基づいた解説がありました。
お昼はランチョンで(座長 ビッセン宮島弘子先生・稗田先生)、「最新アップデート!裸眼視力向上の選択肢」として、最近は患者サイドからも求められる水準が上がっている、白内障手術後の裸眼視力向上を目指して、多焦点眼内IOLをはじめとした最新の治療について、宮島先生・福岡先生・福本光樹先生のわかりやすい解説がありました。
第二部(午後)は、シンポジウムとして「レーザー屈折白内障手術」(座長 宮島先生)と、JSCRSシンポジウム(オーガナイザー 根岸一乃先生)がありました。話題のフェムトセカンドレーザーを使用した白内障手術について、おそらく日本で最初のシンポジウムではないかとのことでした。実際に使用を始められた先生方に、導入のコツ(宮島先生)や、使用経験(岡義隆先生・永原國宏先生)について、具体的なお話を頂きました。実際に日本で使用されている先生方のご講演は、大変刺激がありました。
その後真野先生と木下茂先生を交えて「今、導入するべきか」という、今最も気になるテーマについてのパネルディスカッションがありました。本セミナーに参加される先生方の多くは、フェムトセカンドレーザー白内障手術に前向きで、賛成派の方が多いようでした。JSCRSシンポジウムでは、先に開催された本年のJSCRSで注目された新しい手術手技について講演がありました。老視に対する手術治療として、レーザーブレイドビジョン(中村友昭先生)について、モノビジョンを使った老視レーシックの最新の現状を、また老視用角膜インレー(荒井宏幸先生)の使用について、その実際と効果について解説がありました。いずれも症例の選択が最大のポイントであるようです。
次に、フェムトセカンドレーザーのみを使用して、フラップを作成せずに角膜屈折矯正を行うSMILE(神谷先生)について通常のレーシックとの比較をしていただきました。最後にICRS及びクロスリンキング(稗田先生)について、円錐角膜やエクタジアに対するこれからの外科的治療についての可能性について解説があり、いずれも最新のアップデートとなる講演でありました。 第三部では恒例の「症例から考える白内障・屈折矯正手術」(座長 木下先生)として、珍しい症例や難症例についての症例検討が行われました。大きな全国学会などでは紹介されない(できない)症例についての発表があり、今年も討論が白熱し盛況のコーナーでした。
以上、朝早くから夜までびっしり詰まったプログラムで、本年も全国規模の専門学会を凌駕するほどの内容であり、大変勉強になりました。
日時:
2013年7月20日(土)9:00〜17:30、終了後、情報交換会
会場:
ウェスティン都ホテル京都 山城の間
〒605-0052 京都市東山区三条けあげ
tel:
075-771-7111(代表)
プログラム:
こちらの【ファイル】をご覧ください。
会費:
医師 5000円 / 企業 5000円 / コメディカル 1000円
定員:
150名
お問い合わせ:
参加登録事務局(ICSコンベンションデザイン内)
email:refractive@ics-inc.co.jp
LASIK関西事務局
email: eueno@koto.kpu-m.ac.jp
2012年 第12回 印象記 京都府立医大眼科 中井義典
7月21日(土)、ウエスティン都ホテル京都において、Refractive Surgery Update Seminar in Kyoto 2012 が開催されました。今年も丸1日大容量のスケジュールでした。最近のRefractive cataract surgery の流れにより、角膜屈折矯正手術のみならず、特に白内障手術に関連した講演も多数ありました。また今年も参加者数は215名と、例年通り定員を上回る人数の参加がありました。
第一部(午前)は教育セミナーとして、「屈折矯正検査 角膜前・後面形状の評価」(座長 下村先生)および「白内障手術 眼内レンズ、水晶体嚢 逢着術」(座長 真野先生)についてそれぞれ基本的な解説から最新の情報まで、7名の演者による講演がありました。TMS-5(平岡先生)では、角膜後面の測定も可能となり、これまで角膜前面のデータより予測されていた角膜後面の屈折値が実測値とは異なっている可能性があること、特に倒乱視では乱視の軸もずれることがあり、この事が白内障手術や屈折矯正手術の術後度数ずれの原因になっている可能性があるとのことでした。Pentacam(根岸先生)の基本的な特徴として、elevation mapが視軸のずれによる測定ミスを生じないこと、前眼部OCTのCASIA(淵端先生)の、3D表示や円錐角膜検出ソフトなど多彩な機能について、ハードコンタクトレンズ(森先生)のオーダーメイドを含めたこれからの可能性について教えていただきました。眼内レンズの逢着(竹中先生)について、これまでに施行された多数の手術データより、最近は逢着術が増える傾向にあることや、最も多い合併症である虹彩捕獲に対する手術方法など解説していただきました。また特殊な逢着(谷口先生)として、逢着カプセルエキスパンダーを用いた重度のチン小帯断裂症例に対する手術、強膜内固定(太田先生)の、フィブリングルを使用しない新しい手術術式と有効性について、手術ビデオによるわかりやすい講演がありました。
お昼はランチョンで、稗田先生による「欧米の屈折矯正手術事情」(座長 木下先生)の講演がありました。最近のASCRS/ESCRSにおけるトピックスやアップデートのみならず、府立医大での屈折矯正手術と角膜移植手術に対する新しい取り組みや、日本と海外で異なる屈折矯正手術についての常識非常識、術後感染症の経験についての考察など、稗田先生の哲学にもとづいた楽しい講演でした。
第二部(午後)は、シンポジウムとして「屈折矯正手術 Update」(座長 稗田先生)がありました。演者は5名で、角膜クロスリンキング(加藤先生)の基本手技から上皮剥離を行わない方法や高出力紫外線の使用の可能性など、世界でのアップデートについて、多焦点眼内レンズのUpdate(荒井先生)として、屈折型レンズの弱点である遠方視機能の低下が生じない新しい多焦点眼内レンズの使用経験と良好な結果について、各種サージカル・ガイダンス(福岡先生)を使用した最新の眼科顕微鏡下手術の紹介、Phakic IOLの新しい展開(神谷先生)として、虹彩切開を必要としない後房型眼内レンズの光学特性や新しいサイジング方法の可能性について、最後にフェムトセカンド白内障手術(木下先生)の現状と今後について、まさに現在の屈折矯正手術について最新のアップデートとなる講演でありました。続いて行われた「JSCRSシンポジウム:白内障手術と乱視矯正」(オーガナイザー 宮田先生、根岸先生)では、最も基本となる眼鏡による矯正(湖崎先生)について、大変勉強になるお話を聞くことができました。エキシマレーザーによる矯正(神谷先生)では、乱視が視機能に影響を及ぼす因子として、大きさだけでなく軸や瞳孔径が重要であることを、データにもとづき示していただき、術後PAKの効果についても紹介していただきました。LRIによる矯正(宮田先生)は、フェムトセカンドレーザーの使用により精度が増すと、今後も白内障手術との同時手術として十分可能性のある手技であるとのことでした。トーリックIOLによる矯正(根岸先生)は、エキシマレーザーによる矯正ほどの精度は求められないものの、現状で最も導入が簡単で有効であることを多数の経験例により解説していただきました。
最後に第三部では「症例から考える白内障・屈折矯正手術」(座長 前田先生)として、珍しい症例や難症例についての症例検討が行われました。実は毎年Refractive Surgery Update Seminarでは、このコーナーが最も盛り上がるかもしれません。ほかの学会や研究会などでは紹介できないような症例についても、率直な意見が飛び交って、白熱の討論となります。ここでは内容を紹介しませんが、今年も盛況でした。
以上、朝早くから夜までびっしり詰まったプログラムでした。今年も、全国規模の専門学会に匹敵する内容で、大変勉強になったセミナーでした。一日でこれだけのアップデートが可能な会はほかに無く、お得だと思います(ものすごく疲れますが)。今から来年が楽しみです。
日時:
2012年7月21日(土)9:00〜18:00、終了後、情報交換会
会場:
ウェスティン都ホテル京都 西館3F コスモスホール
〒605-0052 京都市東山区三条けあげ
tel:
075-771-7111(代表)
プログラム:
こちらの【ファイル】をご覧ください。
会費:
医師 5000円 / 企業 5000円 / コメディカル 1000円
定員:
150名
お問い合わせ:
LASIK関西事務局
email: eueno@koto.kpu-m.ac.jp
2011年 第11回 印象記 京都府立医大眼科 中井義典
今年もRefractive Surgery Update Seminar in Kyotoが、7月23日土曜日に開催された。LASIK関西研究会の名称でスタートしたセミナーで、今年は第11回を数える。毎年参加人数は増え続けており、今年も約160人と、多くの参加者があった。名称の変更からも分かる通り、近年の白内障手術手技の進歩、付加価値眼内レンズの開発、角膜移植手術手技の革新などに伴い、エキシマレーザーによるLASIKに代表されていた屈折矯正手術が、他の様々な専門分野とのオーバーラップを必要とするように変化して来ている。実際の臨床において治療の選択肢が増えることはありがたいが、全てについて熟知し、各症例にとって最良の治療法をいつも提示することが難しくなっており、当セミナーの重要性が高まっているものと思われる。講師の先生方も関西に限らず、全国からご参加いただき、ますます充実した内容となっていた。
今年は第1部検査編(午前)と、第2部手術編(午後)の2部制でまとめられていた。検査編ではまず、屈折矯正のBest indicationと題し、オルソケラトロジー(吉野先生)、LASIK(稗田先生)、phakic IOL(中村先生)、マルチフォーカルIOL(大木先生)の4つの方法について、豊富な経験に基づく口演がされた。単純に各々を比較することは難しいが、どのような症例で各治療法を選択するべきか、大きなヒントを得られた。次に角膜形状異常眼(PTK/LASIK術後)の白内障度数合わせとして、角膜トポグラフィー(前田先生)、多焦点眼内レンズ挿入(荒井先生)、no history法(根岸先生)、光線追跡法(宮田先生)の4口演があった。近年世界中で最も注目されているトピックスの一つであるが、なかなか決定打がないのが現状であろう。しかしこの口演で、角膜屈折力と前房深度予測の測定原理、計算原理から復習でき、さらに最新の情報を得ることができた。手術編ではまずプレミアIOLの実際について、大木先生を座長とし、大学病院での使用(松島先生)、トーリックと多焦点の使用(井上先生)、トーリックと新しい多焦点の使用(林先生)について多数の経験とそこから得られた知見につきお話しいただいた。やはり症例の選択が最重要であるとのことであろうが、自分の今までの印象より術後満足度が高い症例が多く、ハードルがいくらか下がる思いであった。続いてRefractive Surgery Updateとしてthin flap LASIK(坪井先生)、phakic IOL(神谷先生)、フェムトセカンド角膜移植(天野先生)、フェムトセカンド白内障(ビッセン宮島先生)の口演があった。フェムトセカンドレーザーを使用しないで行うthin flap LASIKの成績、ますます適応が拡大しているphakic IOLの長期成績、今後屈折矯正手術としての性質がさらに重要になってくるであろう角膜移植、昨年からたった1年で圧倒的に進歩したフェムトセカンド白内障手術と、全国規模の専門学会に参加する以上の内容であった。最後に恒例の症例検討会(治療に苦慮した症例)が行われた。毎年ほかの学会やセミナーでは決して取り上げられないようなレアケースが紹介されるので、楽しく勉強になり、よく考えさせられる内容が多い。今年も決して期待を裏切るものではなかった。
屈折矯正手術に関する最新かつ重要な情報を、たった1日でアップデートできる大変お得なセミナーで、今年も充実した内容であった。
日時:
2011年7月23日(土)
会場:
ウェスティン都ホテル京都 東館2F山城
〒605-0052 京都市東山区三条けあげ
tel:
075-771-7111(代表)
プログラム:
こちらの【ファイル】をご覧ください。
会費:
医師 5000円 / 企業 5000円 / コメディカル 1000円
定員:
150名
お問い合わせ:
LASIK関西事務局
email: eueno@koto.kpu-m.ac.jp
2010年 第10回 印象記 京都府立医科大学眼科学教室/四条ふや町中村眼科 中村 葉
今年は昨年までと違って朝から夕方まで2部制となりました。時間が長くなったこともあって1日で知識量がすごく多くなり有意義に過ごせたと思います。午前中は屈折矯正の基礎知識と難症例の白内障手術についての講義でした。前半は視力の測定の原理から眼鏡とコンタクトレンズの違い、屈折矯正手術の種類まで幅広く網羅された内容でした。今までのまとめができ復習になりました。後半は、難症例の白内障手術について具体的な例のビデオを使って勉強させていただきました。
ランチョンはアメリカからSteven Schallhorn先生が来てくださり、講義をしてくださいました。アメリカにおいて屈折矯正手術を受けた人でもパイロットや宇宙飛行士になれる道を切り開いた先生です。屈折矯正手術のすばらしさについて熱意をこめて伝えてくださいました。多数例での結果で信頼性の高い結果を示されました。特にフェムトセカンドレーザーによるフラップ作成とウェーブフロントガイドLASIKによって、術前よりコントラスト感度がよくなりまさにスーパービジョンを得られるということを強調してお話されていました。
午後からはレンズによる屈折矯正手術とフェムトセカンドレーザ−についての講義でした。適応や問題点など基礎的なことから勉強できました。フェムトセカンドでは角膜移植やリング挿入、白内障の前嚢切開から水晶体の変性までさまざまな利用法があることを知りました。今後の進歩に期待したいです。 最後の症例検討では、学会などでは発表されないような現在困っている症例の提示があり、とても勉強になりました。特に感染症の症例、エクタジアの症例などが印象に残りました。
来年もぜひ参加したいと思いました。
日時:
8月21日(土) 9:00〜18:00
情報交換会 18:00〜19:30
会場:
ウェスティン都ホテル京都
〒605-0052 京都市東山区三条けあげ
tel:
075-771-7111(代表)
プログラム:
こちらの【ファイル】をご覧ください。
会費:
医師 3000円 / コメディカル 1000円
定員:
150名
お問い合わせ:
LASIK関西事務局
email: eueno@koto.kpu-m.ac.jp
2009年 第9回 開催
LASIK関西研究会は、屈折矯正治療を学術的な見地から解析研究し、確かな技術と実績を背景に診療に携わる眼科専門医による研究会です。本会は、屈折矯正手術領域の基礎・臨床の研究および最新の情報交換、会員相互の研鑚と患者さん向け情報発信を目的としています。
第9回LASIK関西研究会を、下記日程にて開催しますので、多くの方先生方、コメディカルの皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。
日時:
2009年7月4日(土)14:30 〜19:30
会場:
ホテル京阪京都
〒601-8003 京都市南区東九条西山王町31
tel:
075-771-7111(代表)
2008年 第8回 印象記 バプテスト眼科クリニック 中井 義典
7月12日土曜日の午後、第8回LASIK関西研究会が開催された。参加者は150名と盛況であった。代表世話人の木下茂先生のご挨拶で始まった今年の研究会は、高名な先生方ばかりが演者として多数プログラムされており、大変楽しみにしていた。
まず教育セミナーは、屈折矯正角膜移植手術という興味深い演題で4講演がなされた。角膜移植手術は眼科手術の中でもまさに開眼手術といえるもので、一見屈折矯正手術とは縁遠い手術におもわれるが、井上先生と稲富先生が講演されたDSAEKでは、角膜前面が残されることにより乱視の発生が減らされ、術後早期の視力改善が可能になっていることを知り、また木下先生と稗田先生が講演されたフェムトセカンドレーザーの精度、最近の進歩を学ぶと、これからは角膜移植手術もますます屈折矯正の性質が重要になってくるように感じた。
シンポジウムは最近のトピックスのひとつである老視治療について、あらゆる方面から専門家の先生方の講演を聞くことができた。越智先生の老視LASIKは今まで詳しく勉強する機会がなかったもので、新鮮であった。渥美先生はご自身の体験に基づくLASIKによるモノヴィジョンについて講演され、やはり説得力があった。坪井先生、藤本先生は多焦点眼内レンズについて、さすがの症例数と経過観察期間でのお話で、メーカー側から提供される情報以外の、実際の結果やご自身の感想を聞くことができた。渡邉先生のコンタクトレンズによる老視治療も、処方が難しいという点で今まで勉強していなかったが、症例の選択によって成功する可能性があることを学んだ。症例検討でも各先生方の興味深い症例提示がされ、質疑応答も白熱した。
たった半日でこれだけのアップデートが可能であり、大変お得な研究会であった。第9回LASIK関西研究会は来年7月4日に予定されており、今から楽しみである。
LASIK関西研究会は、屈折矯正治療を学術的な見地から解析研究し、確かな技術と実績を背景に診療に携わる眼科専門医による研究会です。本会は、屈折矯正手術領域の基礎・臨床の研究および最新の情報交換、会員相互の研鑚と患者さん向け情報発信を目的としています。
第8回LASIK関西研究会を、下記日程にて開催しますので、多くの方先生方、コメディカルの皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。
日時:
2007年7月12日(土)14:30 〜17:30( 情報交換会 17:45 〜19:30 )
会場:
ウェスティン都ホテル京都
〒605-0052 京都市東山区三条けあげ
tel:
075-771-7111(代表)
会費:
医師 3000円 / コメディカル 1000円
2007年 第7回 印象記 京都府立医科大学眼科学教室 中村 葉
第7回LASIK関西研究会プログラムに参加しました。全体の印象として、話題はLASIKではなくphakic IOLやsurface ablationに移行しており、LASIKはかなり一般的な方法となったと考えていいのではという印象を受けました。
3部制になっており、1部が教育コース、2部がシンポジウム、3部が症例検討でした。1部の教育コースは画像診断装置についてでした。前眼部OCTはさまざまな角膜、隅角、水晶体の画像がえられとても有用とのお話でした。特にphakicレンズの術前術後の位置に関する検討などに有用と話されていました。角膜形状解析装置は、移植後やLASIK術後のような角膜の不正乱視のある症例や瞳孔偏位症例ではオートケラトよりIOL計算に必要なケラト値を得るのには適しているとのお話でした。そのあと、波面センサーの概要と測定の実際的なコツについてのお話がありました。検査員の方にとっても有意義な講義であったのではと思います。
2部は角膜厚の薄い強度近視に対する矯正の選択をどうするのかについて4名の演者の先生がそれぞれ意見を述べられました。角膜切除の方法をとるという考えとして、基底膜を残すことでより理想的な上皮の接着を促すepi-LASIKか、余分な上皮を取ってしまうepi-PRKのどちらかの選択になります。もう一方で、角膜切除にともなうhazeやハローの訴えを軽減される方法としてphakicIOLがあります。phakicの中でも後房レンズか前房レンズかの選択があります。確かに統計をとってみるとphakicIOLの方が角膜を切除するsurface ablationよりは視機能としては良好のようです。ただし、やはり率は少ないにしろ一度合併症がおこると虹彩炎や眼内炎といった重篤なものが発症することは常に注意が必要とのお話でした。それぞれの先生方ご自身が受けると仮定しても、それぞれ意見が違っておりまだまだ今後の長期にわたる経過観察をみたうえでどちらがbetterであるのかがわかってくるのではと思いました。
3部は症例検討でした。後房型phakic IOLによる虹彩炎、epi-LASIKによって上皮の残った症例、水晶体亜脱臼に対するphakic IOL挿入症例、前房型phakic IOLが虹彩と接触することによる虹彩炎の4症例が発表されていました。なかなか学会では報告されないような症例報告や本音のお話はと ても興味深かったです。
全体を通じて現在の屈折矯正手術のトピックスがよくわかり、とても勉強になりました。また、次回も参加したいと思います。
LASIK関西研究会は、屈折矯正治療を学術的な見地から解析研究し、確かな技術と実績を背景に診療に携わる眼科専門医による研究会です。本会は、屈折矯正手術領域の基礎・臨床の研究および最新の情報交換、会員相互の研鑚と患者さん向け情報発信を目的としています。 第7回研究会は、教育コースで「画像診断装置 - 測定のコツと結果の使われ方-」を、またシンポジウムでは「 Surface Ablation vs. Phakic IOL−30歳男性、瞳孔径6mm、角膜厚500μm、近視-9.5D矯正をどうするか?」 を夫々テーマとして取り上げ、最先端の臨床データに基づくご講演を企画致しました。 多くの方先生方、コメディカルの皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。
日時:
2007年7月28日(土) 14:30 〜17:45 ( 情報交換会 17:45 〜19:30 )
会場:
ぱ・る・る・プラザ京都 6階 会議室C
〒601-8003 京都市下京区東洞院通七条下ル東塩小路町676番13
会費:
医師 3000円 / コメディカル 1000円
2006年 第6回 開催
LASIK関西研究会は、屈折矯正治療を学術的な見地から解析研究し、確かな技術と実績を背景に診療に携わる眼科専門医による研究会です。本会は、屈折矯正手術領域の基礎・臨床の研究および最新の情報交換、会員相互の研鑚と患者さん向け情報発信を目的としています。 第6回研究会は、教育コースで「角膜手術アップデート」「Refractive lens exchange (RLE)」を、またシンポジウムでは「カスタムLasik VS スタンダードLasik」 「Epi-LASIKでフラップを残す? VS 除去する?」 を夫々テーマとして取り上げ、最先端の臨床データに基づくご講演を企画致しました。 多くの方先生方、コメディカルの皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。
日時:
2006年7月23日(日) 13:30 〜17:00 ( 情報交換会 17:00 〜18:30 )
会場:
ホテル京阪京都 2階「桜」
〒601-8003 京都市南区東九条西山王町31番地
会費:
医師 3000円 / コメディカル 1000円
2005年 第5回 印象記 京都府立医科大学眼科学教室 稗田 牧
第5回LASIK関西研究会は、2005年7月30日(土)の午後ホテル京阪京都2階「桜」で行なわれました。今回は過去最高の150名近い参加者があり、LASIKおよび屈折矯正にかかわる眼科関係者は確実に増加していることが感じられました。
前回から始まった教育コース1は「エキシマレーザー以外の新たな屈折矯正」で、3つのあらたな屈折矯正手段についての講演がありました。『Phakic IOL』についてはフジモト眼科の藤本可芳子先生が、複数の眼内レンズの術後経過と問題点につき述べられました。『オルソケラトロジー』については近畿大学の宮本裕子先生が、臨床試験の途中経過を報告され、夜間装用して昼間はずすという新しいコンタクトレンズが使用方法さえ誤らなければ安全であることを報告されました。『neuro vision』は、軽い近視の方が第一次視覚野のlateral interactionを利用して、裸眼視力を良くするための科学的トレーニングであることを紹介しました。
教育コース2では「マイクロケラトームの適応」として、屈折矯正手術で常に問題となる適応の問題についての講演がありました。「円錐角膜」については大阪大学の別所建一郎先生からさまざまな角膜形状解析装置での判定方法の説明があった。「緑内障」については京都府立医科大学の森和彦先生からは緑内障に関してはあきらかな適応、非適応のラインは引けないながら、注意すべき乳頭形状についての説明がなされました。「網膜疾患」については京都府立医科大学の安原徹先生から、LASIKが網膜剥離のリスクであることは現時点では確認できないが、術前に網膜変性を発見してそのリスクを専門家と相談すべきであることが、勧められていました。
シンポジウムは「LASIKフラップ」について、多根記念眼科病院の真野富也先生からは、各メーカーのマイクロケラトームの特徴と利点が紹介され、神奈川クリニック眼科の北澤世志博先生と安淵眼科、安淵幸雄先生からはレーザーマイクロケラトームであるイントラレースの利点と問題点が紹介されました。最後に京都府立医科大学、木下茂先生からはEpi-LASIKに用いる各種エピケラトームが紹介され、角膜上皮を生着させることが、この手術の利点を生かすであろうことが述べられました。
LASIK関西も5回目を数え、シンポジウムで屈折矯正手術の新しい技術を学び、教育コースで眼科的な問題点を議論する、非常によい機会となってきたように思われました。
LASIK関西研究会は、屈折矯正治療を学術的な見地から解析研究し、確かな技術と実績を背景に診療に携わる眼科専門医による研究会です。本会は、屈折矯正手術領域の基礎・臨床の研究および最新の情報交換、会員相互の研鑚と患者さん向け情報発信を目的としています。
第5回研究会は、教育コースで「エキシマレーザー以外の新たな屈折矯正」「マイクロケラトームの適応〜角膜形状・眼圧上昇・眼球変形」を、またシンポジウムでは「LASIKフラップ」を夫々テーマとして取り上げ、本研究会員関連施設における、最先端の臨床データに基づくご講演を企画致しました。
多くの方先生方、コメディカルの皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。
日時:
2005年7月30日(土) 14:30 〜17:45
会場:
ホテル京阪京都 2階「桜」
〒601-8003 京都市南区東九条西山王町31番地
2004年 第4回 印象記 京都府立医科大学眼科学教室 稗田 牧
LASIK関西研究会は、屈折矯正治療を学術的な見地から解析研究し、確かな技術と実績を背景に診療に携わる眼科専門医による研究会です。本年度の研究会は8月7日(土)に京都駅前のぱるるプラザ京都で行なわれました。
今回から、コメディカル向けの教育コースが加わり、合併症や手術手技以外の術前検査についても講演もおこなわれるようになったこともあり、過去最高の100名を越す参加者がありました。
2000年にエキシマレーザーが近視矯正手術用に認可されてはやくも5年、屈折矯正手術が眼科のなかにかなり浸透してきていることが感じられました。
・教育コースT(術前検査の有用性) まず、友紘会総合病院の林 仁先生が、術前の屈折度の測定に斜位近視が与える影響を指摘されました。遠谷OSLクリニックの松本 玲先生はVISXのウェーブフロントアナライザーによる他覚的屈折度数と自覚検査の屈折度数が一致することを報告されました。千原眼科 岡崎 一白先生はNIDEKのカスタム照射であるOATZによる治療戦略を解説され、フジモト眼科 藤本 可芳子先生はmini-RKとLASIKを組みせた術式を紹介されました。
・教育コースU(カスタムLASIKにおける検査の相違点)
昨年、アメリカでウェーブフロント対応のレーザーが3機種認可されたことをうけて、日本でもウェーブフロントを利用したLASIKがひろまりつつあります。多根記念眼科病院 真野 富也先生、坪井眼科 坪井 俊児先生、神奈川クリニック眼科 北澤 世志博先生と私が各メーカーによる、ウェーブフロントLASIKの手順やデータの選択の仕方を紹介しました。
・シンポジウム「合併症の頻度とその予防」
LASIKは眼科の中でも最も安全な手術と思われますが、合併症が0%ではありません。本シンポジウムでは複数の施設から、実際の手術例における合併症の頻度と予防法が紹介され、活発な意見交換が行なわれました。全例で8000眼近いデータでしたが失明につながるような重篤な合併症は発生しておらず、なんらかの処置(低矯正・過矯正のエンハンスメントを除く)が必要な症例も0.5%以下という結果でした。LASIKの安全性をますます確信するシンポジウムであったと思います。
今後LASIKを受ける人が増えるにしたがって、LASIK術後の診察の機会が増えることが予想されます。関西在住の眼科専門医の方は、来年の研究会に是非御参加ください。
LASIK関西研究会は、屈折矯正治療を学術的な見地から解析研究し、確かな技術と実績を背景に診療に携わる眼科専門医による研究会です。本会の目的は屈折矯正手術領域の基礎・臨床の研究および最新の情報交換、会員相互の研鑚と患者さん向け情報発信を目的としています。
第4回研究会は、教育コースでは「LASIKにおける検査の有要性」「カスタムLASIKにおける検査の相違点」を、またシンポジウムでは「合併症の頻度とその予防」を夫々テーマとして取り上げ、本研究会員関連施設における、現在までに蓄積された臨床データに基づくご講演を企画致しました。
多くの方先生方、コメディカルの皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。
日時:
2004年8月7日(土) 14:30 〜18:00
会場:
ぱるるプラザ京都(京都郵便貯金地域文化活動支援施設)5F 会議室A
〒600-8216 京都市下京区東洞院通七条下る東塩小路町676番1